『よろしくお伝えください』は正しい?ビジネスでの丁寧な伝え方と例文まとめ

ビジネスとマナー
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ビジネスシーンでよく耳にする「よろしくお伝えください」。

一見シンプルな言葉ですが、使う相手や状況によっては「失礼では?」と感じられることもあります。特に、上司や取引先など目上の人へのメールで使うときは、丁寧さや言い回しに気を配る必要があります。

この記事では、「よろしくお伝えください」の正しい意味や使い方、よくある誤用、そして丁寧に伝えるためのコツをわかりやすく解説します。

さらに、すぐに使えるビジネスメールの例文やシーン別の言い換え表現も紹介しますので、読み終えるころにはどんな場面でも自然に使いこなせるようになります。

「よろしくお伝えください」の意味と基本の使い方

「よろしくお伝えください」はどんな意味?

「よろしくお伝えください」とは、相手に対して第三者への挨拶や気持ちを伝えてもらうときに使う表現です。

たとえば、「部長によろしくお伝えください」と言えば、「部長によろしくお願いしますという気持ちを伝えてください」という意味になります。

つまり、直接その人に会えない場面で「よろしくお願いします」という気持ちを間接的に伝える丁寧な言葉です。

日常会話では「〇〇さんによろしく!」とカジュアルに言うこともありますが、「よろしくお伝えください」はより丁寧で、ビジネスシーンやフォーマルな場面に適しています。

敬語としての位置づけと使う場面

「よろしくお伝えください」は、丁寧語と依頼表現が組み合わさった間接的な敬語です。文法的には「伝える(動詞)」+「ください(依頼)」という形で、相手に何かをしてもらう依頼の表現になります。

よく使われる場面としては次のようなものがあります。

  • 上司や同僚に、取引先への挨拶をお願いするとき
     例:「A社の田中様によろしくお伝えください」
  • 来客対応のあと、同席できなかった人への挨拶を頼むとき
     例:「本日はご対応ありがとうございました。部長にもよろしくお伝えください」
  • イベントや会食後にお礼を伝えるとき
     例:「今日はありがとうございました。奥様にもよろしくお伝えください」

このように、自分が直接伝えられない相手への丁寧な気持ちを橋渡しする表現として使われます。

日常会話とビジネスでの違い

日常会話では、親しい相手に「お母さんによろしく!」など、砕けた形で使うのが一般的です。一方で、ビジネスの場では少しフォーマルさが求められます。

そのため、「よろしくお伝えください」に加えてクッション言葉を入れることで、より柔らかく丁寧な印象になります。

たとえば、

  • 「恐れ入りますが、〇〇様にもよろしくお伝えください」
  • 「お手数ですが、〇〇部長にもどうぞよろしくお伝えくださいませ」

このように、言葉を少し添えるだけで印象が大きく変わります。単なる「伝言」ではなく、「相手を気遣う心」を含んだ表現として使うのがポイントです。

「よろしくお伝えください」は正しい?使い方のマナーと注意点

失礼にならない伝え方のコツ

「よろしくお伝えください」は一見丁寧な表現ですが、使い方を誤ると上から目線に聞こえたり、事務的すぎる印象を与えることがあります。

ポイントは、相手への配慮と言葉の柔らかさを意識することです。

まず、相手が自分より目上の人の場合は、単に「よろしくお伝えください」だけでなく、クッション言葉を添えるのが望ましいです。

  • 「恐れ入りますが、〇〇様にもよろしくお伝えいただけますでしょうか」
  • 「お手数をおかけしますが、〇〇様にどうぞよろしくお伝えくださいませ」

このように、「恐れ入りますが」「お手数ですが」などを加えることで、依頼のニュアンスが和らぎ、より丁寧な印象になります。

また、伝える内容が感謝やお礼に関するものであれば、「感謝の気持ちをお伝えください」と明確に言葉にすることで、気持ちがより伝わりやすくなります。

例:「先日はお世話になりました。田中様にも感謝の気持ちをお伝えください。」

よくある誤用例とその理由

実は、「よろしくお伝えください」は正しい敬語でありながら、使い方によっては誤解を招く表現になることがあります。

以下のようなケースには注意しましょう。

誤用例問題点改善例
「社長によろしくお伝えくださいね」“ね”を付けると軽く聞こえ、ビジネスには不向き「社長にもどうぞよろしくお伝えください」
「〇〇さんによろしく伝えてください」「伝えてください」は直接的で命令口調に近い「お伝えください」にする
「よろしく伝えといて」くだけすぎて目上の人には不適切「よろしくお伝えください」に言い換える

つまり、「伝えてください」と「お伝えください」では敬意のレベルが違うということです。ビジネスでは必ず「お伝えください」を使うようにしましょう。

伝える相手・関係性による表現の違い

相手との関係性によって、言葉の選び方を少し変えるとより自然です。

  • 上司や取引先に対して
     「恐れ入りますが、〇〇様にもどうぞよろしくお伝えくださいませ。」
     → クッション言葉を加え、丁寧さを意識。
  • 同僚や部下に対して
     「〇〇部長にもよろしくお伝えください。」
     → シンプルでもOK。
  • 友人や親しい相手に対して
     「〇〇さんによろしく!」
     → カジュアルで問題なし。

このように、場面によって言葉のトーンを調整することで、自然で感じの良い印象を与えられます。「敬語=堅い」ではなく、「状況に合わせた柔らかさ」が重要です。

「よろしくお伝えください」の言い換え表現と使い分け

丁寧な印象を与える言い換え例

「よろしくお伝えください」は便利な表現ですが、繰り返し使うと少し単調に感じられることもあります。

そんなときは、同じ意味を保ちながら印象を変えられる言い換え表現を使うのがおすすめです。

言い換え表現ニュアンス使用シーン
「どうぞよろしくお願いいたしますとお伝えください」より丁寧でフォーマル取引先・上司など目上の人
「ご挨拶申し上げておりますとお伝えください」改まった印象、書面向き挨拶状・年賀状など
「よろしくお伝えいただけますと幸いです」控えめで柔らかい印象メール・ビジネス文書
「お心づかいに感謝申し上げておりますとお伝えください」感謝を含む丁寧表現お礼・謝意を伝える場面
「お世話になっておりますとお伝えください」感謝と関係性の継続を示す継続的な取引関係

このように、相手や状況に合わせて微妙に言葉を変えることで、より丁寧で印象の良いコミュニケーションが取れます。

カジュアル・フォーマル別の表現

場面ごとに「どれくらいの丁寧さで伝えるか」を意識すると、自然な言葉選びができます。

  • フォーマルな場面(ビジネス・目上)
     「〇〇様にも、どうぞよろしくお伝えくださいませ。」
     「恐れ入りますが、〇〇様によろしくお伝えいただけますと幸いです。」
  • やや丁寧な場面(同僚・取引先担当レベル)
     「〇〇さんにもよろしくお伝えください。」
     「ご多忙のところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。」
  • カジュアルな場面(友人・家族)
     「〇〇によろしくね!」
     「〇〇さんによろしく言っといて!」

丁寧さの度合いを使い分けることで、相手に違和感を与えず、温かみのある伝え方ができます。

「よろしくお願いします」との違い

「よろしくお伝えください」と「よろしくお願いします」は似ていますが、伝える相手が異なる点に注意しましょう。

表現伝える相手意味の方向性
よろしくお願いします目の前の相手直接依頼・お願い
よろしくお伝えください第三者に向けた気持ちを依頼間接的に伝える

たとえば、取引先の担当者に「部長によろしくお伝えください」と言うのは、第三者(部長)への敬意を表す表現。

一方で、「これからもよろしくお願いします」は目の前の相手との関係性を大切にする言葉です。

この違いを理解しておくと、場面に応じて自然に使い分けができるようになります。

メールや会話で使える「よろしくお伝えください」例文集

ビジネスメールでの文例

ビジネスメールで「よろしくお伝えください」を使う際は、文章の流れに自然に組み込むことが大切です。単独で書くよりも、「感謝」「依頼」「挨拶」などの文脈に沿って使うと、より印象の良いメールになります。

基本的な文例

本日はお忙しい中ご対応いただき、誠にありがとうございました。
〇〇部長にもどうぞよろしくお伝えくださいませ。

丁寧でフォーマルな文例

このたびは貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。
恐れ入りますが、〇〇様にもよろしくお伝えいただけますと幸いです。

お礼を含む文例

先日はご配慮いただき、誠にありがとうございました。
〇〇様にも感謝の気持ちをお伝えいただければ幸いです。

別れ際や締めの挨拶に使う文例

今後とも変わらぬお付き合いを賜りますようお願い申し上げます。
どうぞ皆様にもよろしくお伝えください。

このように、文末の一言に添えるだけで、相手やその周囲への気遣いを示す柔らかな印象になります。

上司・取引先・同僚などシーン別例文

シーン例文
上司に依頼する場合「お手数をおかけしますが、A社の田中様にもよろしくお伝えください。」
取引先へのメール「このたびはお世話になりました。〇〇部長にもよろしくお伝えいただけますでしょうか。」
社外の担当者へ「先日はご丁寧な対応をありがとうございました。皆様にもどうぞよろしくお伝えください。」
同僚や部下へ「明日の会議で〇〇部長にお会いしたら、よろしくお伝えください。」
カジュアルなやり取り「今日はありがとう!ご家族にもよろしくお伝えくださいね。」

フォーマルな場面では「お伝えいただけますでしょうか」「お伝えくださいませ」といった敬語の補強表現を使うとより安心です。

口頭で伝えるときの自然な言い方

口頭での会話では、文語的に言うよりも自然なトーンが重要です。たとえば取引先との別れ際や打ち合わせ後の一言として、以下のように言うと自然です。

  • 「〇〇様にも、どうぞよろしくお伝えください。」
  • 「いつもお世話になっております。部長にもよろしくお伝えくださいませ。」
  • 「本日はありがとうございました。皆さまにもよろしくお伝えください。」

また、上司や同僚に頼む場合には、少し柔らかい口調で言うとよいでしょう。

  • 「A社の佐藤さんに、よろしくお伝えいただけますか?」
  • 「〇〇さんによろしく言っておいてください。」(カジュアルな職場でOK)

声のトーンや表情を意識することで、同じ言葉でも印象が大きく変わります。言葉の丁寧さだけでなく、相手への思いやりが伝わる話し方を意識しましょう。

「よろしくお伝えください」を上手に伝えるポイント

相手に温かさが伝わる言葉の選び方

「よろしくお伝えください」は、形式的に使うだけでは心がこもっていない印象を与えてしまうこともあります。同じ言葉でも、どういう気持ちを込めるかによって受け取られ方が変わります。

たとえば、ただの社交辞令として言うよりも、

「いつもお世話になっております。どうぞ皆さまにもよろしくお伝えください。」といったように、感謝や敬意の一言を添えるだけで、温かみのある印象になります。

また、相手の名前をしっかり入れることで「あなたに対して心を込めて言っている」と伝わりやすくなります。

「A社の田中様にも、どうぞよろしくお伝えください。」

「皆さま」「ご家族」「社員の皆様」といった具体的な対象を添えるのも効果的です。

クッション言葉を添えるテクニック

「よろしくお伝えください」は依頼の表現なので、ストレートに使うと少し命令的に聞こえることがあります。

そこで役立つのが、クッション言葉。柔らかく依頼することで、より丁寧で気遣いのある印象になります。

クッション言葉例文
恐れ入りますが「恐れ入りますが、〇〇様にもよろしくお伝えください。」
お手数をおかけしますが「お手数をおかけしますが、部長にもよろしくお伝えくださいませ。」
ご面倒でなければ「ご面倒でなければ、皆様にもよろしくお伝えいただけますでしょうか。」
差し支えなければ「差し支えなければ、〇〇様にもお伝えいただければ幸いです。」

これらを前に添えるだけで、依頼が自然に聞こえ、相手への配慮が伝わります。

シーンに合わせた柔軟な言葉づかい

最後に大切なのは、場面に応じて言葉のトーンを調整する柔軟さです。

ビジネスの相手にカジュアルすぎる言葉を使うと軽く見られますし、逆に親しい人に堅い敬語を使うと距離を感じさせてしまいます。

シーン適した言い方
社内で上司に頼むとき「A社の田中様によろしくお伝えいただけますか?」
社外の取引先にメール「恐れ入りますが、〇〇様にもよろしくお伝えくださいませ。」
親しい関係の取引先「〇〇さんにもよろしくお伝えくださいね。」
友人や知人「〇〇によろしく!」

つまり、「敬語を使う=固く話す」ではなく、相手との距離感を踏まえた自然な言葉づかいが信頼感を生むポイントです。

まとめ

「よろしくお伝えください」は、相手への気持ちや挨拶を第三者に丁寧に託すときに使う便利な表現です。

しかし、使い方を間違えると「命令口調」や「軽い印象」に聞こえてしまうこともあります。

ポイントは次の3つです。

  1. 相手の立場や状況に合わせてトーンを変えること
     → 上司や取引先にはクッション言葉を添えると安心。
  2. 感謝や敬意の気持ちを含めること
     → 「お世話になっております」「感謝しております」などを前に添えると温かみが出る。
  3. 文末の表現で印象を整えること
     → 「お伝えくださいませ」「いただけますと幸いです」などで丁寧さを調整。

メールや会話の最後に「よろしくお伝えください」と添えるだけで、あなたの印象は格段に良くなります。

丁寧な言葉づかいは信頼関係を築く第一歩。相手への思いやりを込めて、シーンに合わせた使い方を心がけましょう。

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